育毛剤の成分~血行促進
育毛剤の効果の一つとして、「抜け毛が減る」というものがあります。市販品の育毛剤には「髪の毛を生やす効果」は見込めませんが、この「抜け毛を減らす効果」から、多くの人がこれに手を伸ばしています。育毛剤が抜け毛を減らすことができる理由は、成分によって異なります。
たとえば、血行を促進する効果のあるもの。センブリエキスなどがこの代表例です。血行がよくなれば、それだけ頭皮や髪の毛に栄養をいきわたらせやすくなります。また、赤血球は酸素を供給し、不要な老廃物を回収する役目も担っています。
髪の毛を育てる器官である毛母細胞は、毛細血管によって栄養を受け取ります。髪の毛を健やかな状態に保つために働くのがこの毛母細胞ですから、それに対して効率よく栄養を与えられるという意味で、「血行を促進させる成分」は非常に大切です。
育毛剤の成分~頭皮環境を整える
「頭皮の環境を整えるもの」もまた、抜け毛を防ぐために役立っています。これは大きく分けて2つの種類に分けられます。
- 皮脂の過剰分泌を抑えるもの
- 保湿効果をもたらす成分
たとえば、ビタミンB群などが、「皮脂の過剰分泌を抑える成分」にあたります。
私たちの頭皮に皮脂は欠かすことのできないものです。薄毛の悩みについて考えるとき、皮脂はしばしば「悪者」「髪の毛の正常な発育を妨げるもの」とされてしまいますが、実は頭皮を乾燥から守る非常に重要なものなのです。
ただ、皮脂が過剰に分泌され過ぎた状態だと、それを原因とする脂漏性皮膚炎などが起きてしまう可能性があります。ニキビや炎症が起きることもあります。不快感から髪の毛をかきむしってしまい、抜け毛が加速するという可能性もあります。
このため、皮脂を適度な量で維持するためには、時に「皮脂の過剰分泌を防ぐための成分」をとりいれる必要もあるのです。
「保湿」についても見ていきましょう。
上でも軽く述べましたが、「乾燥」は、薄毛だけでなくあらゆる頭皮トラブルの原因となるものです。乾燥した頭皮は紫外線のダメージを受けやすく、頭皮や髪の毛の老化速度をアップさせます。「加齢」は薄毛の原因の一つですから、これをできるだけ遅らせることは薄毛対策において非常に重要です。また、乾燥は新陳代謝を狂わせ、正常な髪の毛の生育を妨げます。
「皮脂で乾燥から髪の毛(頭皮)を守ること」も重要ですが、「乾いたフケばかりが生じる」などのような場合は、頭皮が乾燥している可能性が考えられます。このような場合は、コラーゲンやヒアルロン酸、グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K・グリチルリチン酸ニカリウムとも。男性用育毛剤の多くに含まれ、甘草という植物を由来とする)などのように高い保湿効果を持つ成分が配合された育毛剤を選ぶとよいでしょう。
育毛剤の成分~栄養を与える
「髪の毛に栄養を与えること」も必要です。髪の毛が育つためには、ミネラルやビタミンの供給が有効です。このため、これらを含んだ育毛剤も販売されています。
もっとも、「髪の毛に栄養を与えること」を、育毛剤やサプリメントだけに頼るのはそれほどよい方法ではありません。「栄養を与えること」の基本となるのは、あくまで日々の食生活です。髪の毛の主成分はたんぱく質ですから、まずは良質なたんぱく質をとることを心がけましょう。また、亜鉛をはじめとする各種のミネラルも重要です。
このように、育毛剤はさまざまな方面から、「抜け毛を減らすこと」に寄与します。「育毛剤を使って抜け毛が減った」という人の数は決して少なくはありません。頭皮環境や髪の毛の状態を良くし、脱毛を予防することのできる育毛剤は、髪の毛の悩みに頭を抱える人にとって心強い味方となるでしょう。
育毛剤の使用で抜け毛が増えるのか
状況を冷静に見極めたい
ただ、しばしば「育毛剤を使って逆に抜け毛が増えた」と感じる人もいます。これにはどのような理由があるのでしょうか。まず一つ、大前提として知っておいてほしいのは、「そもそも抜ける量が減っていないのに、まるで減ったように感じる人」もいるという事実です。
育毛剤を使い始める人は、みんな髪の毛の悩みを抱えています。また、新しいことを始めるのは非常に不安なものです。頭皮からは抜け毛の悩みを抱えていない人であっても、毎日たくさんの髪の毛が抜け落ちていきます。私たちの体は常に新陳代謝を繰り返していますから、すでに寿命が尽きた髪の毛が抜け落ちるのは自然なことです。そしてその後に、また新しい髪の毛が生えてくるわけです。
しかし抜け毛の悩みを抱えている人は、実際には育毛剤を使う前と抜け毛の数が変わっていなくても、神経質になってしまって「抜け毛が増えた!」と感じてしまうことがあるのです。まずは冷静に自分の状態を見極めるようにしましょう。家族などに見てもらって、客観的な意見をもらうのもよいでしょう。
初期脱毛
ただ、「初期脱毛」と呼ばれる症状があるのもたしかです。これはミノキシジルを配合した育毛剤などでも見られるものです。
私たちの髪の毛や頭皮が新陳代謝によって生え変わっていくことは、すでに述べた通りです。薄毛に悩んでいる人の場合は、この新陳代謝が起こる期間が異常に短くなり、育っていない髪の毛が表に出てくることがあります。弱いこの「新しい毛」は非常に頼りなく、抜け落ちやすい環境にあります。
育毛剤の効果によってこの新陳代謝が整っていくと、その新陳代謝によって弱い毛が一度に落ちてしまうことがあります。ただこの状況はごく一時的なものであり、やがて落ち着いていきます。
合っていない育毛剤の使用
もう一つの原因は、「その育毛剤が自分に合っていない」というものです。どれほど良いといわれる育毛剤であっても、人にとって合う・合わないがあります。薄毛に悩む人が100万人いたとして、その100万人が「この育毛剤は効果があった!」といえるものなど存在しません。Aさんにとっては効果があってもBさんとは相性が悪かった、ということは十分に考えられるのです。
これは、その育毛剤の「肌への優しさ」ともイコールではありません。「自分自身でも気づいていなかったが、育毛剤の成分の一部にアレルギーがあったようだ」ということはあります。現在の育毛剤は植物由来のものも多く見られますが、植物性=安全というわけではありません。花粉症のように、植物を由来とするアレルギーもあるからです。
自分に合っていない育毛剤を使った場合、抜け毛が増えるだけでなく、頭皮に異常が生じる可能性も高くなります。炎症が起きたりニキビが起きたり、異常な量のフケが発生したり、頭皮が妙に脂ぎっている(あるいはカラカラに乾燥している)状態が続いたり……という状態です。
「育毛剤の効果が出るまでの期間」は人によって異なりますが、だいたい3か月~6か月程度で効果を実感する人が多いようです。そのため、これくらいの期間を使ってみないと、「抜け毛が減ったかどうか」は判断できないでしょう。ただ、明らかに頭皮のトラブルが起きているのならば、一度使用を中止し、医師の診断を仰ぐ必要があります。
ここまでみてきたように、たしかに育毛剤にも「抜け毛を増やすかもしれないリスク」はあります。
ただそれでも、市販の育毛剤であっても「抜け毛の防止」「脱毛の予防」の効果を期待できるものはたくさんあります。自分にとってベストの育毛剤を見つけることができれば、その育毛剤は、「薄毛の悩み」と戦っていくうえで、心強く力強いパートナーとなってくれることでしょう。
このコラムが気に入ったら
ぜひ「いいね!」をお願いします♪
みんなに役立つ情報をお届けします。